（本当に季刊？？になってしまいました‥�，榔Ε汽ぅ疋弌次悒�テゴリー別』からどうぞ‥）

■映画「この世の外へ〜クラブ進駐軍」の撮影現場　/6月8日

Ｎ：『6月、オダギリさんは映画の撮影に取り組んでいました』

阪本順治監督の「この世の外へ〜クラブ進駐軍」の撮影現場。
ワゴン車から降りてきた池島昌三姿のオダギリが「おはようございまぁす」。めちゃくちゃタレ目な笑顔。
車から降りて暫くは、自分に密着しているカメラさんや現場にいる人たちに向かって、ペコペコとあちこちに頭を下げながらニコニコと歩き進みます。
こういう姿はどこからどう見ても好青年の一言！‥なんだけどなぁ（笑）。

七三分け＆ブルーグレーのスーツ姿の昌三が、手にしていたドラムスティックのことで子供とちょっとしたやりとりをするシーン。監督からの指示や注文に「はい。はい。」と頷きます。
ここで、この作品は“かねてから阪本監督と仕事がしたいと思っていたオダギリ自身が、是非出演したいと望んだ作品”であることが紹介されます。

「今回の役はどういうキャラクター？」
そう尋ねる取材の女性に対して、
「ジャズも出来ないのに、調子に乗ってお金を儲けるために始めたお調子者」と歩きながら答える昌三姿のオダギリ。
喋っている間 『カッチ、カッチ、カッチ‥』と聞こえるのは、手にしているライターのフタを開け閉めする音。またやってる＾＾；
『自分とは全然違うから、やりやすい面もやりにくい面もある』
昌三という役をそう語ったオダギリに、
「（じゃ）自分自身はお調子者じゃないということですね？」
と、間髪を容れずツッこむ女性（笑）。
「‥それはお調子者だということですか？」
ニヤリとして足を止め、心外そうに聞き返すオダギリ。お、NHKでこんなやりとりが聞けるとは！（笑）
「そう聞きましたけど（笑）」
サラリと返す女性に、自分は違いますよと苦笑しながらも、オダギリ、ちょっと楽しそうです。

撮影現場。昌三が気合いを入れて手に入れて来たドラムのスティックを、靴磨きの少年に「長箸」と言われるシーン。
監督からの細かい注文を１つ１つ確認しながら、「はい、分かりました」と頷く姿は、見た目100％池島昌三さん。‥なのにやっぱり役者オダギリの顔です。

「（オダギリくんは）しなやかですよね。投げたら返ってくる敏捷さはしなやか」
そうおっしゃるのは阪本順治監督。
阪本監督は、“作品の中でバカをやりながらも、目に陰のようなものが感じられる俳優さんが好き”なんだそうで、別のインタビューでも、オダギリジョーという俳優はそれに当てはまるということをおっしゃっていました。

撮影の合間、スティックを手に、板の上で黙々とドラムのストロークの練習をするオダギリの姿。


2004年春公開の「この世の外へ〜クラブ進駐軍」の作品紹介。

Ｎ：『オダギリさん演じる昌三は、被爆した親を持ちながらアメリカ兵相手にジャズを演奏する、そんなジレンマを抱えています』

いさかいを収めようと仲間に向かって一喝！言ってることはめちゃくちゃだけど、熱い思いと真剣さで仲間割れの危機を救う（？）という、数少ない昌三くんの迫力の場面。
‥が、最後はやっぱりカッコよくは決め切れないのが昌ちゃんのいいところ（笑）。
池島昌三という人の魅力が凝縮されてスクリーンから伝わってくるシーンです。

役者として充実感がある時とはどういう時か。昌三姿のオダギリに対する質問。
「現場の雰囲気。監督も共演者さんもいい顔をしていたら嬉しい」
自分が良く出来たと思うことよりも？と意外そうに尋ねる女性の声に、
「自分でよく出来たと思うことなんかありえないですからね。パーセンテージは違うけど、必ず後悔する」
そう答えるオダギリの顔はとても穏やか。

自信と不安‥今までもこれからも、その間でオダギリは揺れ続けて行くんだろうな。
そして、表には見えないそのバランスの取れた「揺れ」こそが、オダギリジョーという役者の魅力の１つ、私が目を離せなくなってしまった理由の１つなんだろうなぁ。
淡々と話す端正な表情を見つめながらそう思い返していました。

演奏シーンの撮影。ラッキーストライカーズがオーディションを受ける場面で、カクカクとロボットのようにドラムを叩く昌三さん。そこだけクローズアップして見ると‥‥かなり、変（笑）。
でも、カットが掛かった瞬間、昌三さんの三枚目オーラは一瞬にして消え、オダギリの回りに漂い始めたのは完璧な二枚目オーラ。
（おいおい、素の方がカッコいいってどうなのよ？）
心で呟きかけたその言葉を、思わず飲み込んでしまいそうになるほどの真剣な表情。
そういう時のオダギリは本当に、本当に悔しくなってしまうくらいカッコいい。

Ｎ：『オダギリさんが演じる昌三は三枚目。オーディションに受かりたい一心で必死に笑顔を振りまきます』

撮影の合間、その“笑顔”のためか、アーエーと口を大きく開け、薄い頬の筋肉（笑）をほぐしている役者オダギリの姿をカメラがキャッチ。
でも、撮影がスタートした瞬間からそこにあるのは、生きるための必死の笑顔を貼り付け、懸命にドラムを叩き続ける池島昌三の姿。
誰よりもお調子者だけど、誰にも負けないくらい「生きる」ということを真剣に考えている。
私は池島昌三という人をそんな人だと思っています。